黄昏のベルリン(連城三紀彦 文春文庫)
混血の画家が、出生の秘密を求めてヨーロッパに飛ぶ。巧妙に仕組まれた罠は、とんでもない方向へ。
綿密な構成の冒険推理小説(国際謀略小説と書いてあるけど。)で、なんだか「ダビンチ・コード」を思い出してしまった。
やや長め文章で、暗めの情景描写も多いので多少読みにくいところはあるが、発想もスケールの大きな小説で、プロットもよく、とても面白い作品だ。
場面転換が頻繁に行われ、しかもそれとわかりにくい書き方(解説によると「改行もなしに二倍ダッシ(-)だけで行う、という書き方」)なので、サスペンスが増幅される。
この小説も、読もうと思っているうちに本屋から姿を消し、探していたらやっと十数年ぶりに出版社を変えて発刊されたみたいだ。
1988年の文春「傑作ミステリー・ベスト10」で1位、「このミステリーがすごい!」では3位にランクされている。
この年には、「伝説なき地(船戸与一)」、「そして夜は甦る(原リョウ)」、「ベルリン飛行指令(佐々木譲)」など面白い作品が刊行されてるから、それらを押しのけて高位にランクされているのは、やはり傑作の証拠であろう。
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