2007年12月7日金曜日

雨の影

雨の影(バリー・アイスラー著 ヴィレッジブックス)

 日米混血の殺し屋が主人公のスパイアクション小説。なんのためらいもなく人を殺す殺し屋。ゴルゴ13を思い出すというか、ものすごく強い。実際にこんな殺し屋が存在しているとしたら危険極まりないことなのだが、その彼が、正義の味方かと思われるような、スーパーヒーローとして活躍する。きちんとした人格者として。
 こんな悪人の主人公にも、ついつい共感し、肩入れしてしまう。舞台は、日本。 敵の多い殺し屋の安全確保のための身の処し方や、尾行のまき方なども詳細だ。美女との絡みも、格闘シーンもリアルで興奮する。
 冒頭の皮肉たっぷりの持って回った言い方、いかにも翻訳ものといった文体に、嫌だな、こんな文体は好きではないなあと思いながら読み始めたのだが、すぐに慣れて、面白さにぐいぐいと一気に読み進めてしまった。
 この「雨の影」は、同じ主人公の二作目で、一作目「雨の牙」の続編となっているようで、できれば一作目から読んだほうが前後の関係が理解しやすいのではと思われる。
 雑誌「ダカーポ」2006年9月6日号の特集「眠れないほど面白い本111冊」の中で紹介されていた本である。シリーズ4部作となっていて、三作目「雨の罠」、四作目「雨の掟」も既に出版されているようである。

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