異邦人(上)(下) パトリシア・コーンウェル著(講談社文庫)
「検屍官スカーペッタ」シリーズの15作目。第1作が出されたのが1992年1月だから16年前のことだ。以来ほぼ年1作づつ刊行されている長期シリーズとなっている。
1作目は、確かに面白かった。検屍官という職業も珍しかったし、死体から犯人に迫るという方法もまだそれほど一般的ではなく興味深かった。登場人物もそれぞれ個性的で魅了的だったし、物語りもスリルとサスペンスがあって、はらはらしながら読んだものだ。
それが、巻を重ねるごとに、だんだんと登場人物の動向のほうで読者をつなごうというような趣向に変わってきて、物語のほうがなんだか面白みがなくなってきた。
この15作目は、著者はシリーズ自信作といっているようだが、そうかなあ。確かにいろんな展開は見られるけどそれは登場人物に関すること。肝心の物語は、とても解りにくい。私には、とても読みにくいものだった。まあ、科学捜査の進歩振りがわかるのはいいのだが、素人にはかえって難解にもなる。
このシリーズももう限界かなと思うが、マリーノとルーシーが今後どうなっていくのか、やはり気になる。そういうところがシリーズ物かなあ、勿体無いと思いながらついつい買ってしまう。
それにしても、やはり16年たつと作者もおばあさんになられましたね。
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