30年以上会っていない友がいる。T工大の数学科を卒業し、大手出版社の編集者をしていた時に、労働争議にからんで退職した。その後、塾の講師などをしていたが、ずっと前から音信不通となっている。
学生時代、彼の下宿に行くと、安物のカセットプレイヤーからいつも流れていた曲が、このLPに収められている「オリジナル・アンタイトルド・バラード」だった。
悲しく、ものぐさで、沈みきっている、そんな感じがする静かなバラードで、立派なオーディオで聴くよりも、壊れそうなラジカセから流れているほうが似合う曲だろう。彼のことを思い出すたびに引っ張り出して聴いている。
ランボーの詩をこよなく愛していた彼は、今頃何をしているのだろうか、酒を酌み交わしながら、一緒に聴きたいものだ。
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