2008年2月19日火曜日

ミステリ十二か月


ミステリ十二か月(北村薫 著)中公文庫

 帯には、「ミステリを読み始めた若い読者のための道案内」と書いてあるが、内容は入門の域を超えて、幾分マニアックなところもある内容の濃い文庫となっている。

 もともと読売新聞の子供向けミステリー案内として連載されたものであるらしい。それを文庫にするにあたって、第二部として、その連載の一つ一つについて、何故その作品を紹介したのかなどの背景や、作品に関する薀蓄が展開されている。

 また、第4部では、本格作家有栖川氏との対談で、さらにその選定についての妥当性などのやり取りが載せられているので、ぐんと内容が深くなって、かなりのミステリーフアンが読んでも楽しいものとなっているのではないか。

 内外本格作品の代表的な古典がかなり取り上げられているので、私も読んでいないものがたくさんあり、こういうのを読むとまたまた本を買いたくなって困るのだけど。

 なお、著者は、「ミステリ」と書いてあるが、私にはどうも違和感があり、私の文では「ミステリー」と書きたい。

 ところで、本格とは、推理小説のうち、謎解き、トリック、頭脳派名探偵の活躍などを主眼とするもので、英語では「puzzler」または「puzzle story」に相当する(権田萬治監修 海外ミステリー事典)ものだそうです。 

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