2008年2月25日月曜日

歯と爪




歯と爪(ビル・S・バリンジャー著 大久保康雄訳)創元推理文庫

 先日紹介した「ミステリ十二か月」の一つの章が未読となっていた。章の冒頭に、「歯と爪」のネタばれ注意のコメントがあったからだ。「歯と爪」は、十年以上も前に購入していたのだが、ついつい読むのを先延ばしにしていた。これをいい機会に、ついに袋を切って読んだ。

 とても判りやすい文章で、翻訳物という感じがあまりない。それにプロットもそれほど複雑ではなく、理解しやすい。そうなのに、やはり最後まで謎が続く。なかなか面白いミステリーだと思う。

 それよりも、この本の面白さは、その装丁である。写真のように最後の5分の1くらいが袋とじになっていて、この部分を開けずに出版元に返却すれば、お金を返すという。続きが読みたくて開けずにはいられないでしょうと読者に挑戦しているのだ。そんな手間ひまかけて返本する人がいるかどうかは別としても趣向としては、とても面白い。こういった本は、もう一冊買って一冊は未開封のまま保管する人もマニアの中にはいるそうです。

 しかし、この物語のトリックやそのほかのことについては、北村薫さんが「ミステリ十二か月」の中で言われているとおりだと思います。

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