ベートーヴェン交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
カラヤン指揮ベルリンフィルハーモニー交響楽団(1962年2月録音)
たぶん10年以上はこの曲を聴いていないと思う。たまたま、後輩の駄洒落のことを書いていて、先輩のことを思い出したので、聴いてみようと思い立った。
「田園」のレコードは、ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏が有名であるが、私のはカラヤンとベルリンフィル。
「田園」は、私が中学生の頃の音楽の授業では、ベートーヴェンの交響曲の中でも第5番「運命」と同じくらい有名な曲であった。
しかし、私たちの子供頃は、社会全体がまだまだ貧乏な時代で、学校にレコードなど備えがなく、視聴覚教育環境はろくなものではなかった。勿論、5番はおろかクラシックのレコードなど聴いたことがなかった。有名な運命の動機も教師の口によって「ダダダダーン」ってこんな感じだよと教わった記憶がある。
だから「田園」についても、ベートーヴェンにしては珍しく標題音楽でとかなんとか高校受験のための知識として教わった程度で、実際はどんな音楽か聴いたことがなかった。じっくり聴いたのは、社会人になって随分たってからで、ふむふむ、なるほどこれが田園の描写で、ここからが嵐かなどと感心しながら聴いた程度で、あまり心に感じるものではなかった。そのせいか、その後もめったにこの曲を聴くことはない。有名なのだが、好んで聴きたくなるような曲ではないのだ。
それよりも、この曲には私にとっては面白いエピソードがある。
私の尊敬する先輩が若い頃の話。
当時流行った喫茶店に名曲喫茶というのがあった。クラシック喫茶とも言っていて、店内には立派なスピーカーからクラシック音楽が割りと大きな音量で流れており、曲をリクエストできたりもした。
彼が、デートをしていて、ムードよく二人で名曲喫茶に入った。彼は、教養のあることころを彼女に見せようとして、注文をとりにきたウエイトレスに言った。
「コーヒー2杯ね。それにリクエストしたいんだけど、ベートーヴェンの交響曲「田園」をお願いしますね。」 そして、連れの彼女には、
「田園はとてもいい曲でね、いつも聴いているんだよ。」
ウエイトレスは、もじもじしていたが、意を決したように、
「お客様、リクエストでございますが、ただいまかかっている曲が「田園」でございますが。」と言ってにっこり。
一瞬絶句した先輩、慌てて
「いやまあわかっていたんだけど、最初からかけてもらおうかと思ってね。」ふー!
まあ、このときの彼女が、現在の先輩の奥様だというからよかったのだけども。
この私の敬愛する先輩には、面白い逸話がたくさんあるのだけど、また別の機会に。
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