トルストイの小説に「クロイツェル・ソナタ」というのがありますが、その中で重要な役割を持つのが、ベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調Op.47「クロイツェル」です。小説の中で、主人公がこう言います。
「殊に最初のプレストですね、一体あれをデコルテを着た婦人たちの間で、普通の客間の中で弾いてもいいものでしょうか?(略)ああいう曲は、一定の厳粛な意味のある場合のみ奏すべきで、しかもその音楽に相当した一定の行為を必要とする時に限ります。」(米川正夫訳岩波文庫)
この小説の前後の脈絡からすると、「一定の行為」とは、性的な行為だろうと私は想像するのですが、そのような「恐ろしい曲」なら是非とも聴いてみたいと強く思ったことがあります。それ以来、このソナタを何度ともなく聴きましたが、どうでしょうか。
いつも「なんでかなあ?」です。でも、なかなか魅力的な曲ではあります。今夜聴いたのは、シェリングのバイオリンにルービンシュタインのピアノでした(1958.12.30-31録音)。
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