戻り川心中(連城三紀彦 著 光文社文庫)
以前、私のミステリー読書の参考書としてあげた「東西ミステリーベスト100」(文春文庫1986年12月)の日本篇で9位にランクされていて、ずっと気になっていたものをやっと読んだ。
書名になっている作品「戻り川心中」と他の4作品を収めた短編集で、それぞれの作品で花が重要な小道具(?)として使われている。短編ミステリー集と呼ぶにはあまりにも日本情緒豊かな恋愛小説でもあり、国内ミステリーはさほど読んでいない私にも、他の推理小説作品とは大いに違うと感じられるのだが、やはりこれは、きっちりした本格推理小説なのである。
内容的にはほとんど違うのだが、読んでいて何故かブラウン神父譚を思い起こしてしまうような、思い切ったトリックが用意してあり、なかなか面白い。
家の本棚の奥に、文庫があったのだが、気づかずに本屋を探していて、二年ほど前に再刊されているのを見つけて買っていたものであるが、それは光文社文庫で、本棚の奥にあったのは、1983年発刊の講談社文庫である。出版業界のことはよくわからないが、どういう事情だろうか。
「戻り川心中」は、ラジオ化、テレビ化、映画化されているようだが、是非とも観てみたものだ。
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