先日、一年ぶりにクラシックのコンサートに行った。振り替え休日をとって貫山に登った21日の、その夜だ。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集で有名なアルバン・ベルク四重奏団のラストツアーというから、これは聴いておかないといけないと思い、大枚をはたいて出かけた。
コンサートホールは、アクロス福岡シンフォニーホールである。弦楽四重奏曲の演奏には、1900人近く入るシンフォニーホールは、ちと広すぎると思う。が、しかし、ホールの日本一の音響の良さが、それをカバーしてくれる。
曲目は、
ハイドン:弦楽四重奏曲 第81番 ト長調 Op.77-1、
ベルク:弦楽四重奏曲 Op.3、
そして名曲、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 Op.132 であった。
さすがに登山の疲れがあったのか、ビールを飲んだのが効いたのか、前半はちょっと瞑想してしまったが、絶妙のアンサンブルと美しい弦の響きにいたく感動しました。ベートーヴェンの「弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 Op.132」は、CDで聴きなれていたが、やはり本物の演奏はとてもよかった。少し早めのテンポで流麗に、しかし厳粛な演奏に大満足。
アンコールの曲は、これもベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番から第五楽章「カヴァティーナ」であったが、これが絶品で、あまりの美しさに思わず落涙してしまった。なんだか「白鳥の歌」みたいでした。
この「カヴァティーナ」は、もともと「ベートーヴェン自身が、「会心の作」と語ったと伝えられるように、一切の言葉を拒否するような絶妙な美しさ、宗教的な崇高さも持った(ウィーン・ムジークフェライン弦楽四重奏団「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集」における近藤憲一氏の作品紹介文から引用)」もので、これを聴いただけでも本日のコンサートは価値があった、大変良かったと思います。やはりたまには生演奏を聴きに出かけないといけないね。
ところで、私の持っているアルバン・ベルクのCDは、ベートーヴェンの「弦楽四重奏曲15番」とドヴォルザークの「アメリカ」の2枚だけです。いずれベートーヴェンの全集を買いたいとは思っていますが。
2008年5月26日月曜日
2008年5月25日日曜日
朝日会5月例会 広川原キャンプ場
昨日、今日は、朝日会の5月例会でした。
計画では、佐賀、長崎県境にある多良岳に登り、近くの広川原でキャンプすることにしていた。が、あいにくの雨天となったので、登山は中止し、雨の中を「肥前夢街道」の見物に切り替えた。
「肥前夢街道」は、「江戸時代初期の長崎街道を再現した九州佐賀県の歴史体験型テーマパーク」ということで、嬉野温泉のはずれにあります。忍者屋敷なんかもあって、まあ結構楽しめました。
「おぬし! 知らぬか?」
元湯温泉につかって、安くて美味いお薦めの「よこ長(0954-42-0563)」の温泉豆腐定食(一人前790円)で、みな大いに満足し、キャンプ場に向かう。
広川原キャンプ場は、嬉野温泉から南下した山奥にあり、湖畔のキャンプ場ということになっているが、あいにくの雨で、周りは何も見えなかった。キャビンは設備が整っており(掛け布団がなく毛布だけだったので少し寒かった)、楽しんだ。
今日は、朝から少し麻雀を楽しんで、武雄の近くの「井手ちゃんぽん」で満腹になって、早めに帰宅した。
「井手ちゃんぽん(0954-36-2047)」は、野菜がてんこ盛りのとても美味しいちゃんぽんで、特にお薦めです。といっても、上品な美味しさではなく、非常に大衆的な味だといっていいでしょう。盛りもよくて大盛りではなく普通で十分です。念のために。類似の店があるようですが、ここのが一番だと思います。近くに行ったら食べてみる価値はありますよ。
2008年5月24日土曜日
2008年5月23日金曜日
貫山
貫山(ぬきさん 711.6m)、大平山(おおへらやま 587m)
昨日(21日)は、17日土曜日勤務の振り替え休日だったので、北九州の貫山に登った。貫山は、カルスト地形で有名な北九州国定公園平尾台のいわば主峰にあたる。改定された「九州百名山(2002年)」に新たに加えられた山なので、福岡県の九州百名山で唯一登っていなかった山である。
この山の登山適期は、ススキの揺れる秋だと思うけれど、20日に職場で話題に上がったので、思い立った。本当は、筑紫石楠花がまだ見られるかもしれないから、九重の黒岳に登りたかったが、あいにく夕方にコンサートに行くこととしていたから、早く帰ってくる必要があったこともある。
高速を小倉南インターまで飛ばし、南下して平尾台を目指す。トイレなども整備された吹上峠の広い駐車場に車を停める。さすがに平日なので、他に車は停まっていなかった。
登山口は、駐車場と道を挟んで正面に「大平山散策路」とあるところ。草原を緩やかに登っていくとすぐに急なのぼりをジグザグに登る。しばらくで、石灰岩の大石がごろごろし始める。あたり一面が石灰岩の岩が緑の草原に林立しており、「羊群原」という地名もうなずける。
大平山は、途中のピークと言う感じで、すっと通過する。直進すれば貫山への近道とあるが、ガイドブックは右に迂回路を勧めているのでそのとおり迂回する。初夏の草原は、緑が美しく、石灰岩も対照的にまた美しい。いいハイキングコースだ。ただし、日陰がなくもろに太陽に愛される。暑くてかなわない。ここは、やはり秋から冬のコースだと思う。
緩やかに下って、中峠の手前から左に貫山の稜線を目指す。ここらへんは、道が何本もあって間違えやすいところだろう。が、要所要所には表示があるので、それに従う。
稜線上は、周り全体が広々とした感じで、とても開放感がある。稜線を進むと四方台という小ピークに着くが、ここは左から大平山からの直進路が交差するところである。まっすぐに下ると林道と交差して、貫山への最後の登りとなる。この登りは、日に照らされて、息を切らして汗だくで登る。
貫山のピークは細長い草原で、東には周防灘が広がるなかなかの展望だ。
帰路は、往路を引き返し、中峠から、左折して「広谷湿原」に行ってみる。湿原と言っても、ほとんど乾いており、一部に水がちょろちょろと流れている状態であり、それほどの広さはない。湿原を奥まで進んで山腹の向こうを右に回り込むと、やがて自然林に入り込む。山の反対側は草原なのに、こちら側は林で、なんだか変な感じだ。すぐに未舗装の車道にでるが、そのまま右に緩やかに登りながら回り込むと、中峠から見上げたピークの鞍部に出る。
車道から右に外れて、草原の登山道に戻り、左に少し登れば「桶ヶ辻(568.7m)」というピークに出る。貫山地の南端であろうか。登山道を引き返すともう一つのピーク「周防台(606.5m)」に到る。そこで日に焼かれながら昼食。
下山は、眼下の中峠まで急降下。中峠からは、舗装された車道を「茶ヶ床園地」まで下り、さらにのんびりと見晴台から牡鹿鍾乳洞の横を通り、「平尾台自然観察センター」の前に出る。点滅信号を右折して車道を1キロほどで駐車場所の吹上峠に戻る。
危険なところは全くない、簡単なハイキングコースではあろうが、日に照らされての結構なアップダウンは、かなり疲れた山歩きでした。
(8:50)吹上峠駐車場発、 (9:17)大平山山頂、 (10:30-40)貫山山頂、 (11:13)中峠、
(11:20-30)広谷湿原、 (11:59)桶ヶ辻、 (12:15-40)周防台、 (12:50)中峠、
(13:05)茶ヶ床園地、 (13:40)吹上峠駐車場着
2008年5月18日日曜日
XUXU(しゅしゅ)
友人の娘さんが、XUXU(「しゅしゅ」とよんでください。)というヴォーカルカルテットで活躍している。
今日は、その演奏会が久留米のエールピアであったので聴きにいった。
いろんなジャンルの歌をアカペラで自分たちのアレンジで表現しているのだが、なかなか難しい分野で頑張っている。
今回、「新しい命から」というオリジナル曲を出したということで、この曲で紅白出場を狙うとのこと。早く実現して欲しいものだ。もっとも、スイングジャーナルなどで、ヴォーカル分野では既に高い評価を受けているというから、紅白などの俗世へのデヴューはしないでも、それはそれでいいのではとも思います。
まあ、プロだから大衆に認められて食っていけるということも大きなことではあるけれど。
私のほうは、昨日は仕事だったし、今週は山にいけなかった。早いうちに代休をとって山に行こうと思っている。
2008年5月17日土曜日
2008年5月13日火曜日
時の過ぎ行くまま
時の過ぎ行くまま(アズ・タイム・ゴーズ・バイ)
私の大好きな女優にイングリッド・バーグマンがいる。「誰がために鐘は鳴る」での彼女の綺麗な瞳に全く参ってしまった。その彼女がハンフリー・ボガードと共演した映画「カサブランカ」は、男のかっこよさにあこがれるいい映画だ。その映画で、流れる名曲がこの「時のすぎゆくまま(As time goes by)」である。
主人公が別れた女と幸せな逢瀬を楽しむとき流されていた曲で、別れて以来封印していたのであるが、ある日、酒場でその曲をリクエストした女がいた。
映画の中では、男優(ドーリー・ウィルソン)のピアノの弾き語り(ピアノは吹き替えという)で、なかなかいい雰囲気であるが、途中で中断するのであまり記憶に残っていなかった。
その曲を好きになったのは、20年ほど前にFM東京が放送した「スタンダーズ・ベスト・セレクション50」という番組で紹介されたペギー・リーの歌うそれを聴いてから。それ以来すっかりこの曲が好きになり、今やジャズボーカルの中で最も好きな曲となっている。
その放送をエア・チェックしたカセットテープを繰り返し聴いていたが、やはりCDで持っていたいからレコード屋を探したがペギー・リーのCDとしては、この曲が入っているものは無いということだった。ところが、ネットでこれが入っているスクリーン・ミュージック集のCD(写真)を見つけて購入することができて、大変嬉しい。映画の中の、中断する演奏も、今聴き直してみるとなかなかいい歌唱で、最後まで歌って欲しかったと思う。
この曲では五指に入る名唱と言われるカーメン・マクレーの東京ライブ版も持っていてそれなりにいいのであるが、私には、やはりこの曲を甘い雰囲気で歌う、ペギー・リーのが一番いい。
2008年5月11日日曜日
井原山
井原山(いわらやま 983m)
先週は飲み会が続いたので疲れていたのであろう、今朝は寝坊した。昨日は雨だったので、山歩きはできなかったから今日はどこかに昇りたいが、時間的には近場の山に登るしかない。連休中に井原山に登った友人からミツバツツジがことのほか綺麗だったと報告があっていたので、一週間たったけどまだ大丈夫かなと出かけた。
いつも登る瑞梅寺の「井原山雷山自然歩道」から先に林道を車で上り詰めると、水無鍾乳洞の入り口に着く。そこが水無登山口で、多分ここからが井原山への最短コースになるのであろう。
時間が遅かったので、登山口の駐車場は、満車状態であったが、下山者がいたので入れ替わりに車を停める。
水無鍾乳洞を左に、右に井原山への登山道を登る。新緑の登山道はとても気持ちがいい。沢に沿って右に左に何度か横切りながら緩やかに30分ほど登ると、「井原山30分」との標識があり、登山道は左に沢から離れていよいよ急登になる。このコースで一番きついところで、木の根、幹につかまりながら息を切らせ登る。急登は長く続かず、10分ほどであろうか、また緩やかな登りとなると、期待していたミツバツツジが現れ始める。
ミツバツツジは友人の報告どおり、もうピークをわずかに過ぎているようだが、まだまだ美しい。むしろ、散った花が登山道の両脇下に、咲いている花が両方の頭上にとサラウンドトンネルとなっていて素晴らしい。頂上付近まで進むと、まだ今が盛りと咲き誇っていた。
山頂は、やはり花目当ての多数の登山者でにぎわっていた。昼食をとりすぐに下山。雷山まで縦走しようかとも思ったが、往復三時間ほどかかるので時間が気になったし、天気もいまひとつ良くないので、今回は、縦走路を少し下り、右にアンの滝(アンの滝の名前の由来、意味が判らない。)から瑞梅寺方向に下る。確か、アンの滝付近から鍾乳洞のほうに行く道があったから、初めてだがその道を行ってみよう。
しばらく石灰岩の混じる道を緩やかに下ると、やがてジグザグの急降下となる。うんざりするほど下ると、沢沿いの気持ちのいい道となる。水無登山口への案内を二度見送って、アンの滝まで下る。あれっ!鍾乳洞へはさっきの分岐だったかと引き返し、5分ほどで、井原山山頂からは水無への二箇所目の分岐を左に(山頂からは右に)はいる。地形からすると山腹を巻いたり、谷を渡ったりする道だろう、まあ多少のアップダウンはあるかなと思っていた。ところが、この道は、ひたすら登るばかり。それもかなりの急登である。ほとんど山頂への登り返しという感じだ。途中、瑞梅寺川の源流があって、水が美味しかった。いやになるほど登り返すと、やっと鍾乳洞への道と合流し、そこからは、登山口まではすぐである。
ミツバツツジは美しく、堪能できた山歩きであった。が、しかし、今の時期は九州の山は、なんでこうもピンクムードなんだろう。アケボノツツジ、ミツバツツジ、石楠花、ミヤマキリシマ、みんなピンクなんだよね。こうピンクがくると、やはり純白の花が欲しいよね。丹沢の桧洞丸のシロヤシオは純白の花が綺麗だったなあ。
(11:53)水無鍾乳洞登山口、 (12:45)井原山山頂、昼食、 (13:10)下山、 (13:51)アンの滝、(13:57)水無鍾乳洞分岐、 (14:38)水無鍾乳洞登山口
2008年5月6日火曜日
大崩山とアケボノツツジ
大崩山(おおくえやま 1644m)
いつか友人から見せてもらったアケボノツツジの写真がとても美しかった。青い空に薄いピンクの花が見事に映えていた。 連休がそのアケボノツツジに会えるチャンスである。ちょっと遠出になるけど思い切って一人で出かけた。
高速を大分米良まで飛ばし、三重町から北川町を経て、延岡の手前で祝子川沿いに上る。登山の行程は約10時間だから本日は近くに宿泊するだけ。宿泊は、いつもの「民宿祝子川渓流荘」である。朝8時に出たので午後2時前には着いてしまった。近くを散策して、近くの温泉「美人の湯」につかる。5時に夕食をとったらやることがないので、翌日の朝と昼の弁当を頼んで支払いを済ませ、8時には床に就いた。ビール1本と三食で6000円だから安い。
翌早朝4時に起床。支度を済ませ、まだ真っ暗の中、車を登山口まで走らせる。登山口の近くの道路脇には、幕営をしている登山者が何組もいた。それも安上がりでいい方法だ。次回はそうしよう。
登山口周辺には駐車場がないので、道路の両脇に駐車することとなる。早朝暗いうちから、もうずらりと車が停まっていて登山口近くには停めるスペースがない。今のうちにUターンをして停めておかないと、帰るときにはUターンができなくなる恐れがある。300m程手前の方まで戻り、やっと駐車する。
ヘッドランプをつけ真っ暗の中を登山開始。いきなりの急登であるが、長くは続かない。すぐに山腹を緩やかに登る道となる。もう三度目の道だし、明るい昼間ならなんという登山道ではないはずだが、真っ暗な道で、ヘッドランプだけでは様子がよくわからないから不安である。何度か道を間違えそうになる。
登山口から25分程で大崩山荘(無人)の前に着く。近くにはたくさんのテントが張ってある。幕営にはいい季節だ。左に行けば渡渉して坊主尾根へ。目指す湧塚尾根コースは、直進して三里河原方面に進む。
さらに20分程で、三里河原と湧塚尾根への分岐に至る。空もようやく明るくなってきて、道も判りやすくなってきた。分岐からすぐに大小の岩がゴロゴロした河原に出て、丸木橋を渡る。丸木橋と書いたが、確かに数年前までは丸木橋だったが、今は鉄の網橋に変わっていた。丸木橋は不安定で、横に掴むロープが張ってあったが、それでもとても怖かった覚えがある。が、今回は楽チンだった。
渡渉してからの道が案内表示もなく判りにくい。明るくなっていたから、よく観察できて間違わずにすんだが、真っ暗だったらそうとう苦労しただろう。
大きな岩の間をすり抜けたり、涸れ沢を登り、はしごをよじ登ったり、はたまた一枚岩をロープで登ったりで高度を稼ぐ。ようやく安定した登りとなると、もうアケボノツツジが出迎えてくれた。嬉しいなあ。きれいだな。 渡渉地点から1時間ほどで、袖ダキへの分岐に出る。山頂へは、この袖ダキは通らなくてもいけるのだが、ここからの眺めは大崩での最大の見もので、必ず行くべきである。長いロープにぶら下がり、全身を使って登りつくと、そこはまさに別天地。眼前の光景に誰もが感嘆の声を上げるだろう。正面には圧倒的な迫力の小積ダキの岩峰が、右手にはまるで絵画のように美しい岩肌の下湧塚の岩峰がそそり立つ。私は、大崩山にはこれを見るために登ると言ってもいい。ここを見るのは3回目だが(登頂は4回目)、何度見てもため息が出るほど美しい風景だ。
去りがたい気分だが、まだまだ先がある。下湧塚への登りは、登ってきたほうから右手のほうに道が伸びていたような記憶があったので探したが、よくわからなかったので、一旦先ほどの分岐まで下った。
山頂の方へ進むにしたがってアケボノツツジがたくさん咲いているようになる。今回は、アケボノツツジを見るのも大きな目的であったから満足である。アケボノツツジは、ミツバツツジよりも数倍大きな花で、その群落は見事である。腕がまずいのか、写真がなかなか上手く撮れないのが残念である。 袖ダキとの分岐から25分程で、下和久塚分岐に出る。「和久塚」は前に出てきた表示では「湧塚」で漢字が統一されていないが、正しいのはどちらだろうか(昭文社の地図には「湧塚」とあるが)。梯子を数脚登ると下和久塚の上に出る。細長い頂である。ここから中和久までは道が続いているのがすぐ判る。痩せ尾根を進んで下り、登り返すと中和久の岩上に出る。丸い大岩が重なり合った頂で、その岩の上にはさすがに怖くて立てなかった。上和久には、登ってきた道のすぐ先を下って、一旦基部に出て、右手をぐるっと巻いて登る。アケボノツツジが一番多くてきれいなところだ。
中和久から30分ほどで、上和久の肩に着く。上和久の肩は狭い広場(?)になっており、一番難しいと言われている上和久に登る前に一息入れるところだ。上和久へは、以前は岩をよじ登らなくてはならず、岩角を掴むところがとても難しかったが、今回は別場所の岩の割れ目にロープが垂らしてありこれをよじ登る。ロープの上部は、岩が蓋をしており、わずかな空間を両手両足を使いながら上手く潜り抜ける必要があるが、足場がないので下手をすれば落下してしまう。なかなか難しいところだ。右手に巻き道もあるが、これも最上部は、ちょっと腕力が必要であろう。まあ、慎重に登れば誰にでも登れるとは思うけれど、危険箇所であることは間違いない。
上和久の頂は、これも細長い。頂からは、登ってきた中和久の見事な岩峰や、ここからしか全容が見られないという、汽船の煙突のような「七日廻り岩」や空中テーブルのような「りんどうの丘」を見ることができる。「りんどうの丘」で休憩する登山者と声を掛け合うのも楽しい。
上和久を降りると、いよいよ大崩山の山頂を目指す。アケボノツツジも少なくなって、代わりにスズタケの中の道となる。淡々と登ること40分ほどで左頭上にバットマンみたいな岩が見えるとすぐに石塚と言われる展望の良い場所に出る。ここから5分ほどスズタケのトンネルを抜けていくと大崩山の山頂である。狭い山頂からは、ほとんど展望もない。写真を撮り、石塚まで引き返して、ようやく朝食とする(9:06)。
下山は、登ってきた道を引き返し、宇土内への分岐、モチダ谷分岐、坊主尾根分岐をやり過ごし、少し下って右に「りんどうの丘」経由坊主尾根への道を進む。この道に入るとまたアケボノツツジが多く咲いていて気分がいい。「りんどうの丘」はテーブル状の岩が突き出た広場で、近くに水場もあり幕営ができる。対面には湧塚の岩峰群が見事である。
りんどうの丘から少し下り登り返せば小積ダキの上部に出る。ここからの眺めも素晴らしい。特にこれからトラバースする奇岩「象岩」は見ものである。切れ落ちた岩の中間部分にわずかに通れる岩棚を登山者が恐る恐る通る姿が豆粒のように認められる。
この象岩のトラバースは、本コース最大の難所と言ってもいいだろう。狭い岩棚の横にワイヤーがきっちりと張ってあり、これを掴んで慎重に通れば、特に危険はないが、下はスパッと切れ落ちており、まあ落ちればどこまで落ちるか判らないし確実に命を落とすであろう。
ここを通過すると、あとは垂直に架かる梯子の連続の急降下となる。いくつの梯子が架かっているのか数えなかったが、もううんざりするほどの梯子である。次から次へとまったく気が抜けない。梯子は登るより下るほうが気を使う。途中の坊主岩の奇岩をゆっくりみる余裕もないくらいだ。
梯子が終わっても急降下はしばらく続く。朝から朝食以外にろくに休憩を取らなかったせいか、膝の裏の腱が痛くなってきた。下るスピードが落ちる。
下り始めて1時間半くらいたったころようやく緩やかな下りになると、渓流の音が耳に入り始め、渡渉地点が近くなる。
渡渉地点は、石が積み上げられてるが、判りにくい。飛び石に渡り終えると、大崩山荘の前に出る。山荘からは、20分ほどで登山口に着く。
8時間の岩峰歩きは、さすがにくたびれた。美人の湯で汗を流し、帰路に着く。憧れのアケボノツツジの群落にも出会え、満足のいく山行であった。
(4:40)登山開始、 (5:05)大崩山荘、 (5:34)渡渉地点丸木橋、 (6:34)袖ダキ頂上、
(7:18)下和久塚頂上、 (7:31)中和久頂上、 (8:07)上和久頂上、 (9:01)大崩山山頂、
(9:06)石塚、朝食、 (9:33)下山開始、 (10:04)りんどうの丘、 (10:30)小積ダキ頂上、
(12:07)渡渉地点、 (12:12)大崩山荘、 (12:35)登山口
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