2008年10月5日日曜日

容疑者Xの献身


容疑者Xの献身(東野圭吾著)文芸春秋

 満60歳になって一番よかったのは、映画が千円で観ることができるようになったこと。

 で、昨夜、映画「容疑者Xの献身」を観た。

 原作は、2005年に出た東野圭吾さんの同名の小説。「探偵ガリレオ」こと物理学者湯川学が活躍する本格推理小説だ。短編集が二冊文庫化されているが、これは最初の長編で、単行本として出された。現在、これも文庫化されて、店頭に並べられている。

 究極の愛が「献身」であるというのは、多分ひとつの説得ある理であろう。それが殺人事件に発展した。

 緻密な捜査と推理、現実味のある納得できる推移。本格物にありがちな我田引水的な部分がほとんどない優れた推理小説である。倒叙推理であるが、飽きさせることがなく、一気に読めるものだ。

 2005年のミステリー界で、圧倒的な評価で第一位に輝き、直木賞を受賞したのも十分肯ける。

 短編集のほうは、福山雅治と柴崎こうさんの主演でテレビドラマ化され人気を博したが、なかなか面白いものだった。 

 主要な登場人物の配役は、映画もテレビと同じようだった。

 今回の映画は、原作にはない、冬山のシーン(なんでも八方尾根で苦労したらしい)のおまけつきであったが、全体としては、細部にまでこだわってよく作ってある。なかなかいい出来であると思います。

 まあ、劇場版「相棒」と同じで、映画館の大画面で観たほうがいいというのは、先の冬山シーン以外は、冒頭の実験の部分くらいだけれども。

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