2008年3月9日日曜日

由布岳

由布岳(ゆふだけ 1,584m)


 春の雪は、消えるのが早い。そう思っている。


 先週の水曜日に、3月の九州では珍しい大雪が降った。雪が消えないうちに、福岡県の最高峰である釈迦ガ岳(1229.5m)に登ろうと早起きして家をでた。
 いつもなら、九州自動車道八女インターから登山口の矢部村杣の里を目指すのだが、今回は車のナビを「杣の里」にセットしてみた。そうしたら、目的地とは正反対のほうに誘導し始める。同じ名称のところが別にあるみたいだからよく調べてみたら、目的地は、「秘境・杣の里渓流公園」が正確らしい。
 セットし直したところ、今度は日田インターから前津江村経由での案内らしい。確かにその方向ではあるが、たぶんかなりの山道であり、果たしてどうなのか不安を感じながらもナビに誘導にまかせてみた。  
 ところが、椿ガ鼻ハイランドパークを過ぎたあたりから雪が深くなり、しかもカチカチに凍りついた状態になってきた。私の車も四駆ではあるが、タイヤは夏タイヤだからアイスバーンは危険である。午前九時半、矢部村まであと10kmというところで、これ以上進むのを止め、引き返すことに決めた。
 日田インターまで引き返す間に、もういちど八女まで高速を飛ばすことを考えたが、そうすると登山口に着くのは12時を過ぎる。予定のコースを歩くには5時間近くかかるから、日没までの余裕が持てなくなる。いさぎよく目的地を変えよう。
 ということで、急遽、由布岳に登ることに決めた。


 由布岳は、「豊後富士」とも呼ばれる美しい山で、山容はどっしりとして気品がある。特徴的な双耳峰で、遠くからでもよくわかる、私の大好きな山だ。
 由布岳登山口の駐車場には、遅い時間にもかかわらず、幸運にも一台だけのスペースがあった。登山口から見上げる由布岳には、ほとんど雪がみえない。南側ではあるし、今日の陽気ではほとんど融けてしまうだろう。
 広い草原を緩やかに登ると、柵があり、ここからが山道となる。まばらな自然林の道を緩やかに登ると、30分ほどで「合野越」という開けた場所に出る。そこからが本格的な登りだ。
 急峻な山体に、九十九折に付けられた登山道は、ほどよい傾斜で、それほどきつさを感じない。一折の長さが短くなってきたかなと感じる頃には、残雪が多くなり、道は岩ゴロゴロの直登気味の道になる。急登は、少しだけで、東西の峰の鞍部である「マタエ」に出る。
 「マタエ」の先は、火口跡である。いつもならこの辺りは、風が強くて寒いのであるが、今日は風はほとんどなく、気持ちがいい。
 西峰を目指して、左に岩場を登る。鎖場を慎重に越えて火口の内側に入ると、「障子戸」と呼ばれる岩壁が立ちふさがる。このコース中で、一番危険な箇所であろう。 剣岳の「かにの横ばい」は、足場がしっかりしているので、危険は感じない。この「障子戸」は、高度感はないが足場がかなり狭いので、むしろこちらのほうがちょっと怖い。




 ここを慎重に越えて、続く岩場を岩角を掴みながらよじ登ると、由布岳の三角点がある西峰の山頂(1,584m)である。展望抜群。昼食。 昼食後、火口縁をぐるりと回る「お鉢めぐり」に向かう。登ってきたほうと反対側に、まっすぐ北に向かう。雪が深くなった登山道をいくぶん左側に巻くような感じで急降下すると、ロープが張ってあり、これより先立ち入り禁止の立札がある。先は大崩壊地であり、危険地帯である。手前を右に降下する。

 雪が深い岩尾根は、なかなか歩きにくく体力を要する。ところどころ氷結しており慎重に歩く。樹氷が美しい。










 西峰から50分程で、東峰山頂(1582m)に着く。山頂から見下ろす由布院盆地や遠くの九重連山の眺めは抜群であるが、本日は春霞がかかっているのか、ぼんやりとしていた。
 西峰に登る際に見上げた東峰への登山道は雪が多そうで、下りをちょっと心配していたが、下山するときはもうほとんど融けているか、残っている雪もシャーベット状になっていて、アイゼンなしで十分安全であった。


 下山後は、一番の楽しみである温泉での汗流し。これまた大好きな湯布院ハイツの露天風呂(600円)の絶景を楽しんで帰路に就く。











(10:35)由布岳登山口発、 (11:05)合野越、(12:07)マタエ、5分休憩
(12:29)西峰山頂、昼食、 (12:54)西峰発、お鉢めぐりへ
(13:46~55)東峰、 (14:04)マタエ、 (14:59)登山口着  

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