黒岳は、九重山群の一番東にある山で、複数のピークを持つ複式火山だそうである。一般的には、そのピーク群のうち天狗(1556m)と高塚(最高点 1587m)を併せて登るのを黒岳登山と言っているようだ。九州の山のうちでは、私のとても好きな山の一つである。
登山口のある男池(おいけ)園地の側に駐車場があり、休日にはたくさんの車が停まっている。男池園地は、百年前に阿蘇や九重山群に降った雨が湧き出している男池(日本百名水)を中心に、自然林と清流からなるとても綺麗な自然公園である。山に登らない人でも一度は訪れたくなるいいところである。
入り口で、清掃協力金100円を払い入園し、男池の向こうから登山道に入る。九州の山にはほとんど残っていないと言われる自然林がここにはあり、緑がとても綺麗である。
わずかに登ると「かくし水」と言われる水場がある。男池の水に比べると硬質ではあるが、とても冷たくて美味い。喉を潤し先を急ぐ。
登山口から50分ほどで、「ソババッケ」と呼ばれる湿地に出る。雨が多いときは一面が水溜りとなる。10年ほど前は、湿地帯には、緑の木はほとんど生えてなく、涸れた木立が幽玄な雰囲気をかもしていたが、今日はすっかり低木や大きな草が茂り、全く違った感じになっていた。
さらに緩やかに登ると、「奥ぜり」と呼ばれる山間(黒岳と大船山の間)を登る岩だらけの道になる。この道が苦手である。滑りやすく足の置き場が決めにくくとても疲れる。この道と佐賀・長崎県境の多良岳・経が岳の縦走路がなんだか感じが似ていて、苦手な道だ。
アップダウンを一時間ほどすると、「風穴」という大きな岩が重なり合った地形に出る。昔は、その中の一つの穴には万年雪が融けずに残っていて、天然の冷蔵庫として利用されていたらしいが、もう10年ほど前から雪は見えなくなったようだ。今日もひんやりとしていたが雪は見えなかった。
いよいよここから左折して、黒岳の急斜面に取り付く。ガレ場の急坂にはロープが張ってあるが、うっかりすると落石を起こしてしまいそうで、登山者が多いときはとても気を使う道である。
木の根や枝などにつかまりながら全身を使った登りとなる。40分ほどの登りであるが、蒸し暑さの中で、ヘトヘトになる。やはり夏場の急登は堪えます。
天狗別れを右に少し下ると、眼前に大岩が積み重なった天狗のピークが見え始める。赤ペンキの目印を頼りに岩場に取り付く。15分くらいの岩場登りである。槍の穂先ほどの厳しさはないけれど、滑りやすくて慎重に登る必要がある。
ピークには、天狗1556とペンキで書かれた大岩があり、その上に立つことができる。眼前には最高点の高塚や大船山の威容を見ることができるし、翻れば祖母傾の山群を遠くに望むことができる。
天狗別れの戻り、20分弱の登りで、黒岳最高点の高塚に達するが、樹木が茂る狭いピークはそれほどの魅力はない。登ってきた天狗が正面に見ながら、定番冷やし中華の昼食とする。
下山は、前岳を経て白水鉱泉のほうを考えていたが、疲れがひどいようだったので、往路を戻ることとした。案の定、風穴の手前で足がつり始めた。痛くて一歩も歩けない。その場に立ったまま息をつめて堪える。幸いなことに5分ほどで、傷みがとれ歩くことができるようになって事なきをえたが、不安材料ができた。
苦手な歩きにくい「奥ぜり」をゆっくりゆっくり歩き、ソババッケからかくし水まで着いた時には、やっと安心できて、スピードを上げたが、その後足はなんともなかった。
ペットボトルに男池の水をつめ、日本一美味い(と僕が勝手に思っている)牧場の牛乳とアイスクリームを食べ、九重星生ホテルの温泉「山恵の湯(800円)」で汗を流して帰路に着く。
(9:40)男池園地駐車場発、 (10:04)かくし水、 (10:28)ソババッケ、 (11:18)風穴、
(12:06)天狗別れ、 (12:26)天狗岩山頂、 (12:47)天狗別れ、 (13:03)高塚山頂、昼食、
(13:20)下山開始、 (14:05)風穴、 (15:08)ソババッケ、 (15:34)かくし水、 (15:50)男池、(16:00)男池園地駐車場
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